日本の自転車競技について思うこと

7月12日土曜日、山梨県境川自転車競技場でチームのトラック練習に参加してきた。メンバーは若手チーム員と自分を含むおじさま班3名。なんといっても初ピストでのバンク走行。これはもちろん、月末に開催される伊豆ベロドロームでの競技会(Kid's 〜 マスターズ)に向けての練習であって、また、チームからお借りしたピストバイクのお試し走行でもある。

いやあ、初ピスト、いろいろなことがあった。

当初心配していた、ビンディングペダルちゃんとはめられるの?ってのは特に問題がなかった。それよりも固定ギヤということを頭ではわかっていながら、ふとしたとき(ケツの位置をずらすとか)に足を止めようとしてペダルに突き上げを喰らいぶっ飛びそうになって焦る、ということが数回。この足を止めてはいけない、という基本動作は、一日経ってもまだ完全に身体が覚えてくれなかった。

もうひとつはスピードコントロール。前走者との間隔が詰まってしまったときなど、ブレーキの無いピストバイクでスピードを落とすには、踏み具合で調整するしかない。もともとロードでもうまくスピードコントロールできていない。いつも遅れ気味になり、焦って踏み直して近づきすぎる、という繰り返しなので、今後はスピードの変化に気をつけて早めで弱めの踏み込みで回転を合わせられるようにしたい。ロードの集団走行にもいい練習になる。

さて、総じてバンク走行は楽しい。ほんとうに楽しい。と思うのだけど、実は少し気になる事もあった。それは競技場を使用するうえでの「暗黙の了解」ってやつ。

貸し切りでない限り、通常はひとつのバンク内で他のチームも一緒に走る。全体の動きを見ていると、数人から5、6人の小集団がコース内にふらーっと入ってきて、例えば、先頭交代しながら周回練習をしたり、2人組みでハロンやったり、TTやスタート練習を始めたりといったメニューが始まる。何らかの練習を始めた人またはチームがいたら、バンク内ではその人たちの走行が優先され、他のひとはバンクの走行レーンに入ってはいけないというルールがあるらしい。他のひとは内側の赤い部分などをぐるぐる周りながら待機する。
ただ、この練習メニュー開始が初心者にはわからない。え?なんか始まったの?ぐらいの感覚。ふら〜とはいってきて、ふら〜っと走っていたかと思ったら、直後には本気の練習が始まる。わかんねーよこれは。
自分のチームの選手が他チームの練習開始に気付かずにレーンを走り、「なにやってんだよ!ふざけんなよ!!」とか罵声を浴びせられていたりして、なんだかおっかねー。というか、やるならやるで意思表示をはっきりさせればいいのにと思う。これ、世界的にこうなんかな?もしかしたら日本特有っぽい気もする。こんど調べてみよう。
そしてこう思った。あ、これって自分が学生時代に運動部(体育会)で似たようなことやってたっけ。所謂ローカルルールなんで、学内とか同じ競技者同士ではわかるけど、一般人には通用しない。慣れたものにとっては、事前アナウンスとかの面倒な手順をすっ飛ばして練習に入れるのだから便利。でもこのルールを理解していない競技初心者とかは、なんだかいきなり怒鳴られたりして驚いて、それが原因で競技というかバンク行くのが嫌になって、結局自転車競技自体やめてしまう、なんて人もいるだろうな、と。
バンクは閉じられた空間ではなくて、みんな同じように利用料を払えば使えるオープンなもの。最低限、こういうときはこうしましょう、こうやってみんなで使いましょう的な事前講習は必要だと思うものの、黙って何か始めて、それに気付かないというだけで怒鳴られるというのは、なんだかいかにも日本的だよなぁ。空気読めとか言われちゃったりして(笑)もしかしたらこういう閉鎖的なところが、バンク=競輪 という認識につながっていたり、自転車競技が万人のスポーツとして認知されない原因のひとつになっているのかもしれない。自転車競技がもっと広い層の人々に楽しいスポーツとして受け入れられるよう、競技者も含め関係者は考える必要があると思う。

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